睡眠時無呼吸症候群
睡眠時無呼吸症候群(閉塞性)
睡眠中に無呼吸を繰り返すことで、様々な合併症を起こす病気で、無呼吸は、閉塞タイプ、中枢タイプ、混合タイプとに大別されます。
閉塞性睡眠時無呼吸は、空気の通り道である上気道が狭くなることが原因で、首まわりの脂肪の沈着が多いと上気道は狭くなりやすく、肥満が関係していることが多いです。一方で、肥満がなくても、扁桃肥大、舌が大きいことや、鼻炎・鼻中隔弯曲といった鼻の病気、あごが後退していたり、あごが小さいなどが原因になることがあるため、注意が必要です。
患者数は推定200万人とされていますが、85%は未診断との報告もあり、問題となっています。
睡眠時無呼吸症候群の症状
極めて大きないびきや無呼吸が典型的症状です。自覚症状としては、昼間の過剰な眠気が典型的ですが、
- ぐっすり眠った感じがない
- 全身がなんとなくしんどい
- 夜間頻尿
- 夜間呼吸困難
などもあります。
また、無呼吸による低酸素、交感神経の活性化などにより、高血圧、糖尿病を来しやすくなり、血液が固まりやすくなることにより、心筋梗塞や脳梗塞を来しやすくなるといわれています。
睡眠時無呼吸症候群の診断
当院では、携帯型装置による簡易検査により、無呼吸指数、無呼吸低呼吸指数、酸素飽和度低下指数を計測して、診断を行います。
- 簡易検査の流れ(クリックで詳細)
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簡易検査の流れ
当院で受診
▼検査会社に依頼し、検査機器を宅配便で、ご自宅(または、ご希望の場所)に発送します。
▼検査機器に付属している手順書に従って、測定してください。
▼測定後、検査機器は同封の伝票(着払い伝票)を使用して返却下さい。
▼検査会社に検査機器到着後、3~5日前後で結果レポートが当院に届きますので、それ以降にご来院ください。
手と顔にセンサーをつけて、眠っている間の呼吸と血液中の酸素濃度の状況を調べます。【気流センサー】
口鼻からの気流を測定し、無呼吸や低呼吸がないかを調べ、1時間あたりの無呼吸や低呼吸の数(無呼吸低呼吸指数:AHI)を算出します。【動脈血酸素飽和度(SpO2)】
血液中の酸素濃度の目安をパーセントで表示します。無呼吸、低呼吸により換気が悪くなると、酸素濃度が下がります。1時間あたりの無呼吸と低呼吸を合わせた回数である無呼吸低呼吸指数(AHI)が5以上であり、かつ上記の症状を伴う際に睡眠時無呼吸症候群と診断します。その重症度はAHI5~15を軽症、15~30を中等症、30以上を重症としています。
尚、当院の簡易検査で診断や治療方針の決定に至らない場合は、高次医療機関に紹介させていただき、睡眠ポリグラフ検査という詳しい検査を行っていただきます。
睡眠時無呼吸症候群の治療
肥満を伴っている閉塞性無呼吸患者様においては、何よりも減量が重要な治療となります。 喫煙は血中の酸素濃度を低下させ、咽喉頭部の炎症を起こし、睡眠中の無呼吸に悪影響を与える可能性があるため、禁煙を心掛けることも大切です。 飲酒に関しても、いびきや睡眠中の無呼吸を悪化させるため、可能な限り避けることが望ましいとされています。
AHIが20以上で日中の眠気などを認める場合、経鼻的持続陽圧呼吸療法(Continuous posi-tive airway pressure:CPAP)(クリック)が標準的治療とされています。CPAPはマスクを介して持続的に空気を送ることで、狭くなっている気道を広げる治療法で、当院でも導入可能となっています。
治療を行うことにより、日中の眠気や倦怠感の症状が改善します。また、睡眠時無呼吸症候群の重症例では、心血管系疾患発症の危険性が約5倍にもなるといわれていますが、CPAP治療を行うことにより、健常人と同等まで死亡率を低下させることが可能となっています。
CPAPの効果
CPAP診療のルール
CPAP装置は在宅医療会社から貸し出しになり、CPAP開始後は月1回の受診が必要となります。
アデノイドや扁桃の肥大、鼻腔や咽頭の形態異常が原因となり、気道閉塞を来している場合は、手術の適応となることがあるため、CPAPを始める前に一度は耳鼻科受診をすることが望ましいとされています。
その他、歯科装具を睡眠中に装着し、舌や下あごを前方に固定することで、舌の後方の気道スペースを広げて、気道の閉塞を防ぐ方法もあります。装具の作成を希望される場合は睡眠時無呼吸を専門とする歯科医師に依頼します。
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