心血管合併症予防を目的とした睡眠時無呼吸治療
はじめに:心臓を守るための「睡眠学」循環器内科医が「睡眠」の管理に全力を注ぐ理由
―― あなたの心臓は、寝ている間に休めていますか?
「いびきくらいで循環器内科に行くのは大げさでは?」 と思われるかもしれませんが、決してそのようなことはありません。何故なら、心臓と睡眠には、切っても切れない深い関係があり、睡眠時無呼吸症候群(SAS)は、単なるいびきや日中眠気の問題ではなく、寝ている間に心臓と血管を傷つけ続け、心臓病の悪化や突然死の引き金となりうる深刻な攻撃因子だからです。
私たち循環器内科医は、心臓の病気を管理する専門家であるため、「どうすれば一生、心臓病にならずに済むか、心臓病をいかに悪化させずに過ごせるか」を日々追及しています。
心臓病の予防や治療を成功させるためには、日中のケアだけでなく、この「夜間の攻撃」を食い止める睡眠学という夜間ケアの予防医学オプションは不可欠となっています。起きている時間の内服治療、運動食事療法と同じくらい、寝ている時間の「呼吸管理」は心臓病治療の要と言っても過言ではありません。
それゆえに我々循環器内科医は、SASの早期発見・早期治療に全力を注いでいます。
- ▼ 睡眠時無呼吸による心血管への悪影響
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- (1)胸腔内圧への影響
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無呼吸による胸腔内圧の低下は心臓に直接的に負担をかけます。また、胸腔内が陰圧になると静脈から心臓に帰る血液量が急速に増加するため、右心系の容積が急激に増大します。その結果、右心室と左心室の境目である心室中隔が左心室側に変位し、左心室の広がりが妨げられるため、最終的に心臓から出ていく血液の量が減少してしまいます。もともと心疾患のある方は、無呼吸による負担がより大きくなりやすいため注意が必要です。また、静脈から心臓に帰る血液量が多くなることにより、心臓の拡大や肺の圧受容器の刺激で生じる自律神経系の変化により、心房細動が起こりやすくなることが報告されています。
2023年改訂版 循環器領域における睡眠呼吸障害の診断・治療に関するガイドライン
- (2)低酸素血症による交感神経への影響
- 無呼吸は、一晩中、間欠的低酸素・高炭酸ガス状態を繰り返しており.低酸素状態は、交感神経活動を亢進させ、その結果、心拍数や血圧が上昇します。また、高炭酸ガス状態もあるとさらに交感神経活動が亢進することが示されています。また、無呼吸に伴う交感神経活動の急激な亢進は末梢血管の収縮による高血圧状態を来すことも報告されています。
交感神経活動の亢進は睡眠中の無呼吸時だけでなく、無呼吸の生じていない覚醒時においても観察され、血圧変動・血圧上昇に寄与します。 - (3)内分泌への影響
- 血圧を上昇させ、心血管イベントを起こしやすくする血漿アンジオテンシンⅡや血漿アルドステロンなどのホルモン濃度が無呼吸によって上昇しやすくなります。また、糖尿病と関連の深いインスリンという血糖を下げるホルモンに対する抵抗性への悪影響も指摘されています。
- (4)血管内皮への影響
- 無呼吸に伴う炎症や酸化ストレスにより血管内皮機能障害、一酸化窒素の低下、それに伴い動脈硬化が進展するというエビデンスが多く示されています。
- (5)血栓、血小板血栓への影響
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無呼吸はアテローム(動脈硬化)血栓ともよばれる動脈血栓のみならずフィブリンに富む静脈血栓発症のリスク因子でもあることも報告されており、心血管イベント発症の要因とされています。

【1】睡眠は、心臓にとっての「唯一の休憩時間」です
私たちの心臓は、一生休むことなく動き続けています。しかし、唯一「省エネモード」に入って負担を減らせる時間があります。それが「正常な睡眠」の時間です。
正常な睡眠中:
血圧が下がり、脈拍が落ち着き、心臓はリラックスした状態になります。
睡眠時無呼吸がある場合、息が止まるたびに酸素不足になり、脳がパニックを起こして交感神経を興奮させます。すると、寝ているはずなのに血圧が急上昇し、心臓は「全力疾走」を強いられるのです。
【2】「いびき」は心臓が発しているSOSかもしれません
「たかがいびき」と見過ごされがちですが、日本循環器学会のガイドラインでは、睡眠時の無呼吸が心不全、心房細動(不整脈)、高血圧などを引き起こす大きなリスクであると明記されています。 実際、心臓病を抱える方の多くに、睡眠中の呼吸の異常が見つかっています。
各疾患別睡眠時無呼吸の合併頻度
2023年改訂版循環器領域における睡眠呼吸障害の診断・治療に関するガイドラインより改変
- ▼ 睡眠時無呼吸による高血圧への悪影響
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- 高血圧リスクと閉塞性睡眠時無呼吸(OSA)
- OSAと高血圧は単なる合併ではなく,OSA自体が高血圧の成因となります。OSAの高血圧リスクとしてのインパクトは若年でより大きく,高齢者ではその影響は減少します。
OSAは様々な機序を介して、高血圧をもたらすとされています。OSAは,虚血性心疾患,心不全,不整脈,大血管疾患や脳血管障害など,あらゆる領域の高血圧に関連した循環器疾患のリスクとなりますが、これらのリスクのもっとも上流にあるのが交感神経活性の亢進です。 - 2023年改訂版 循環器領域における睡眠呼吸障害の診断・治療に関するガイドライン
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RAA系活性:レニンアルドステロンという血圧を上昇させるホルモンです
一酸化窒素:血管を広げて血圧を下げる物質です
エンドセリン:体の中で作られる、最強の血管収縮物質です
肺伸展反射:肺が膨らみすぎないよう、吸うのを止めることをさします
- OSAの自由行動下血圧の特徴
- OSAで発生する高血圧は神経原性高血圧ともいわれ,血圧変動が著しい夜間高血圧を特徴とし、この夜間高血圧は独立した心血管疾患のリスクとなることが証明されています。OSAの夜間無呼吸発作時に,最大の胸腔内陰圧負荷を生じますがそれに加えて,無呼吸後半から無呼吸が解除されるタイミングに一致して,著明な血圧上昇(睡眠サージ血圧)が発生します。このような血圧上昇は20 mmHg程度から100 mmHg以上まで,幅広い個人差があることが知られており、この夜間サージ血圧の増大が夜間発症の心血管イベントの誘因と考えられています。
- 治療抵抗性高血圧
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治療抵抗性高血圧は,利尿薬を含む3剤以上の降圧薬を投与中にもかかわらず,診察室血圧が140/90 mmHg未満にコントロールできない場合と定義されていますが、OSAはその原因となりうることが知られています。とくに,降圧薬の就寝前投与などの夜間・早朝高
血圧に対する特異的治療を行っても,家庭血圧で測定した早朝血圧レベルが持続して高値(135/85 mmHg以上)を示す治療抵抗性早朝高血圧では,OSAを疑う必要があります。
- ▼ 睡眠時無呼吸による左室収縮能の保たれた心不全への悪影響
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- 左室収縮能の保たれた心不全(HFpEF)における睡眠時呼吸障害の合併は高頻度であることが報告されています
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閉塞性睡眠時無呼吸(OSA)と中枢性睡眠時無呼吸(CSA)のいずれも出現しますが、クリニックではCSAは扱いませんので、OSAとHFpEFの関連を説明いたします。
一般的に、HFpEFにOSAを合併すると予後は不良であることが証明されています。HFpEFの病態形成には、左室肥大、拡張障害に加え、動脈スティフネスの亢進、高血圧、心房細動、冠動脈疾患などが複雑に関連しますが、いずれも睡眠時呼吸障害との関連が密接です。
OSAの重症化とともに左房拡大、左室肥大、左室拡張障害を認め、メタボリックシンドロームの合併により、左室拡張障害や左室求心性肥大はより進行するため、OSAがHFpEF発症の病態生理に関わる心臓の構造変化に関連する可能性があるといわれています。
OSAに伴う胸腔内圧変動や交感神経活性によりもたらされる心拍数や血圧の上昇は、HFpEFの病態形成に関与しており、その管理が有用である可能性が示唆されています。
AHIよりも低酸素の程度のほうが、より左室肥大や予後と関連するとの報告もあります。OSA患者に対するCPAP管理は現時点では生命予後を改善したとのエビデンスはありませんが、左室心筋重量、右房および左房の容積が減少したとの報告があり.さらに、OSA管理による肥満、高血圧、糖尿病、心房細動、冠動脈疾患、腎機能障害などのHFpEF関連因子の改善により、HFpEFの発症予防やHFpEF患者の予後改善へつながる可能性があるため、HFpEFに合併するOSAに対しては、CPAPを中心とした治療を検討すべきとされています。
- ▼ 睡眠時無呼吸による心房細動への悪影響
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- 睡眠呼吸障害は、胸腔内圧の変動、周期的低酸素血症、自律神経活性の変化などにより不整脈を発生しやすくなります
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不整脈発生においては、加齢に伴う心筋の線維化や高血圧などの併存疾患、基礎心疾患が不整脈基質(不整脈を発症する素地)を形成しますが、初期の段階ではこれらの構造的変化は軽度であるため大きく関与はしないとされています。しかしながら、睡眠呼吸障害を有する場合には、この変化に加えて毎晩繰り返される無呼吸によりさらなる構造的・電気的リモデリングを惹起します。睡眠呼吸障害や併存疾患、基礎心疾患への適切な介入がないと不整脈基質が水面下で形成され、ある時期になると不整脈発生閾値を超えて心房細動や致死性心室性不整脈の不整脈発症につながることになります。
心房細動患者に睡眠呼吸障害を併発する頻度は報告に差はあるものの、21~74%と非常に高率に合併することが報告されています。心房細動は不整脈自体の緊急性はないものの、心不全や脳梗塞の発症リスクが高まるため、正確な診断と適切な治療が求められます。また睡眠呼吸障害は生活習慣病をはじめとする多くの併存する疾患と関連があり、これらは相加相乗的に不整脈発生に関与するため、不整脈のみの治療では不十分なことが多く、包括的な治療が必要とされています。
睡眠呼吸障害が心房細動を新規に発生するリスクは経時的に増加するため、罹患期間が長くなるほどその心房細動合併頻度は高くなります。お互いに合併する疾患であり、睡眠呼吸障害の患者では心房細動の併発リスクを評価し、心房細動の患者を診たら睡眠呼吸障害のスクリーニングを検討することが重要であるとされています。
- ▼ 睡眠時無呼吸による糖尿病への悪影響
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- 2型糖尿病に閉塞性無呼吸(OSA)を合併することのリスク
- 2型糖尿病患者におけるOSAの合併は、心血管イベント発症と有意に相関することがわかっています(虚血性心疾患: 1.55倍、心不全 : 1.67倍、脳卒中 /一 過性脳虚血: 1.57倍、心房細動: 1.53倍、全死亡: 1.24倍)。 OSAを合併した2型糖尿病患者は、心血管イベントの高リスク集団であるため、2型糖尿病患者を管理する際には、OSA合併の有無を評価することが重要です。
- OSAが2型糖尿病を発症する機序
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OSAは、間欠的低酸素、睡眠分断化により、交感神経活性の亢進、酸化ストレスの増加、全身炎症の誘発、視床下部-下垂体-副腎系機能亢進によるストレスホルモン分泌量の増加、脂肪細胞から分泌されるアディポネクチンという善玉ホルモンの低下を来します。その結果、血糖を下げる唯一のホルモンであるインスリンを分泌する膵臓β細胞の機能不全やインスリン抵抗性を来し、2型糖尿病を発症します。
CPAPと減量を同時に行うとHgbA1cの低下、糖代謝異常の改善効果を期待することができますが、CPAP単独による糖代謝異常に対する効果に関しては、現時点では一定の見解は得られておりません。
一方で、2型糖尿病の治療薬であるSGLT2阻害薬エンパグリフロジンが、詳細な機序は不明ながら、2型糖尿病患者における新規OSA発症を約50%低下させることが報告されており、その有用性が期待されています。
2023年改訂版 循環器領域における睡眠呼吸障害の診断・治療に関するガイドライン
- ▼ 睡眠時無呼吸による慢性腎臓病への悪影響
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- 睡眠呼吸障害の頻度と特徴
- 慢性腎臓病(CKD)患者において,睡眠呼吸障害を合併する頻度は25~70%であり.CKDが悪化するにつれ、睡眠呼吸障害を合併する頻度やその重症度は高くなります。
そのためCKD患者に,睡眠に関連する症状や治療抵抗性高血圧を認めた場合などでは,睡眠呼吸障害を積極的に疑い,精査を行うことが推奨されています。 - 睡眠呼吸障害がCKDの発症と進行に与える影響
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一般人口における睡眠呼吸障害の存在は,CKDの発症および経時的な腎機能(GFR)低下に関する独立したリスク因子となっており,とくに夜間低酸素が腎障害の進行と強く関連しています。
睡眠呼吸障害に伴う低酸素血症,レニンアンギオテンシン系(血圧を上げたり、ナトリウムをため込んだりするホルモン)活性化,交感神経活性の亢進が,CKDに影響する中心的なメカニズムと考えられています。特に腎臓の奥の尿を濃縮する部位である腎髄質は低酸素に感受性が高いとされています。さらに腎髄質の低酸素は、レニンアンギオテンシン系を亢進させ、全身の動脈硬化や血圧上昇をもたらし、腎機能悪化を加速します。
2023年改訂版 循環器領域における睡眠呼吸障害の診断・治療に 関するガイドライン」
- CKD患者における睡眠呼吸障害の合併が予後に与える影響
- CKD患者における睡眠呼吸障害の合併は,CKD患者の予後悪化につながることが示唆されています。また、進行したCKD患者を対象とした観察研究では,睡眠呼吸障害の重症度が高いほど総死亡のリスクが高くなることも報告されています。
- CKD患者に合併する睡眠呼吸障害に対する治療
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睡眠呼吸障害に対するCPAP治療は,腎臓の血行動態を改善し,RAA系活性を低下させ,腎障害の進行を抑制する可能性は指摘されており、実際、多くの臨床試験を用いたメタ解析では、3ヵ月間以上CPAPを使用している閉塞性睡眠時無呼吸患者において腎機能の改善効果が示されたとの報告もありますが、まだまだエビデンス不足であり、今後の長期的な腎予後の検討や大規模臨床研究によるエビデンスの蓄積が必要とされています。
一般的に、CKD患者は心血管疾患を有していることが多いため,その併存症も考慮して,症例に応じてCPAP治療介入の適応を検討する必要があります。
【3】当院の使命
循環器専門医として私たちが目指すのは、無呼吸症状を抑えることだけではなく、10年後、20年後も元気に動き続ける心臓を守ることにあります。
睡眠時無呼吸症候群の種類について
無呼吸は、閉塞タイプ、中枢タイプ、混合タイプとに大別されます。閉塞性睡眠時無呼吸(Obstructive Sleep Apnea:OSAS)は、空気の通り道である上気道が狭くなることが原因で、首まわりの脂肪の沈着が多いと上気道は狭くなりやすく、肥満が関係していることが多いです。一方で、肥満がなくても、扁桃肥大、舌が大きいことや、鼻炎・鼻中隔弯曲といった鼻の病気、あごが後退していたり、あごが小さいなどが原因になることがあるため、注意が必要です。
- ▼ なぜ日本人は痩せていても無呼吸になるのか
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- 1. 日本人特有の「下顎の小ささ」
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日本人は欧米人に比べて、下顎(したあご)が小さく、後ろに引っ込んでいるという特徴があります。
スペースの不足: 下顎が小さいと、その内側にある「舌」を収めるスペースが狭くなります。舌の沈下: 起きている時は筋肉で支えられていますが、寝て筋肉が緩むと、狭いスペースに押し込められた舌の根元(舌根)が、喉の奥(気道)へと落ち込みやすくなります。
気道の閉塞: 喉の周りに脂肪がついていなくても、骨格的に気道がもともと狭いため、少しの沈下で気道が塞がってしまいます。
- 2. 顔の奥行きが浅い「短頭型」
- 人類学的な分類で見ると、日本人は「短頭型(たんとうがた)」、欧米人は「長頭型(ちょうとうがた)」に分類されます。
奥行きの差: 日本人は顔の横幅が広く、前後の奥行きが浅い傾向にあります。
気道の狭さ: 奥行きが浅いということは、鼻から喉にかけての空気の通り道も短く、狭くなりやすいことを意味します。
「小顔」のリスク: 近年、小顔が美徳とされる傾向にありますが、実は「小顔=顎の未発達」である場合が多く、これが現代の日本人に無呼吸症候群が増えている一因とも言われています。 - 3. 欧米人との比較
- 欧米人と日本人の無呼吸のメカニズムは、以下のように対照的です。
特徴 欧米人のOSAS 日本人のOSAS 主な原因 肥満(首周りの脂肪) 骨格(顎の小ささ、奥行きの浅さ) 体型 BMIが高い人が多い BMIが普通・低くても発症する 気道の状態 外側からの圧迫で狭くなる 構造的に内側のスペースが足りない - 4. 骨格以外の要因
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骨格に加えて、以下の要素が組み合わさると、痩せていても無呼吸のリスクが跳ね上がります。
加齢: 喉の周りの筋肉が衰え、気道を支えきれなくなる。br 飲酒: 筋肉がさらに弛緩し、舌が落ち込みやすくなる。
鼻詰まり: 鼻呼吸ができないと口呼吸になり、顎が下がってさらに気道が狭まる。
日本人は見た目が痩せているだけで、実は内臓脂肪がついている(隠れ肥満)ケースもあり、それが喉周りの軟部組織に影響を与えていることも少なくありません。
中枢性睡眠時無呼吸症候群は、呼吸システムに対する脳による指令の問題が主な要因であり、閉塞性無呼吸とは全く異なる機序が関与します。重度の心不全患者や脳血管疾患患者に生じることがありますが、当院では中枢性無呼吸の管理は行っていませんので、中枢性無呼吸の管理が必要な方は、高度医療機関へご紹介させていただきます。
睡眠時無呼吸症候群の症状
極めて大きないびきや無呼吸が典型的症状です。自覚症状としては、昼間の過剰な眠気が典型的ですが、循環器学会睡眠時無呼吸ガイドラインによると、実際は、下記の多彩な症状が報告されています。
睡眠時無呼吸症候群の診断・治療
当院では、携帯型装置による簡易検査により、無呼吸指数、無呼吸低呼吸指数、酸素飽和度低下指数を計測して、診断を行います。
無呼吸(Apnea)は10秒以上完全に息が止まっている状態、低呼吸(Hypopnea)は完全に息は止まっていないものの、止まりかかることにより酸素濃度の低下を伴っている状態を表しており、1時間あたりの無呼吸と低呼吸を合わせた回数である無呼吸低呼吸指数(AHI)が5以上であり、かつ上記の症状を伴う際に睡眠時無呼吸症候群と診断します。
重症度はAHI5以上~15未満を軽症、15以上~30未満を中等症、30以上を重症としています。
無呼吸の重症度にかかわらず、肥満を伴っている方においては、何よりも減量が重要な治療となります。
喫煙は血中の酸素濃度を低下させ、咽喉頭部の炎症を起こし、睡眠中の無呼吸に悪影響を与える可能性があるため、禁煙を心掛けることも大切です。
飲酒に関しても、いびきや睡眠中の無呼吸を悪化させるため、可能な限り避けることが望ましいとされています。
保険診療上は、簡易モニターでAHI30以上であればCPAP療法を勧めさせていただき、AHI30未満であった場合は、入院可能な施設に紹介しPSG(睡眠ポリグラフ検査)でAHI15以上であれば、CPAP療法を勧めさせていただきます。
CPAPはマスクを介して持続的に空気を送ることで、狭くなっている気道を広げる治療法です。
治療を行うことにより、日中の眠気や倦怠感の症状が改善します。また、睡眠時無呼吸症候群の重症例では、心血管系疾患発症の危険性が約5倍にもなるといわれていますが、CPAP治療を行うことにより、健常人と同等まで死亡率を低下させることが可能となっています。しかしながら、CPAPは使用時間が短ければ、眠気は改善しても、心血管系の保護効果は十分に得られない可能性が指摘されており、1日4時間以上の使用が望ましいとされています。
CPAPの効果
CPAP診療のルール
CPAP装置は在宅医療会社から貸し出しになり、CPAP開始後は月1回の受診が必要となります。費用の目安は、3割負担の方で月々約5,000円になります。
この費用には、装置のレンタル代、マスクなどの消耗品代、および定期的な診察・指導料がすべて含まれています。

耳鼻科への紹介について
アデノイドや扁桃の肥大、鼻腔や咽頭の形態異常が原因となり、気道閉塞を来している場合は、手術の適応となることがあるため、耳鼻科を紹介させていただくこともあります。
OA療法(マウスピース治療)
歯科装具を睡眠中に装着し、舌や下あごを前方に固定することで、舌の後方の気道スペースを広げて、気道の閉塞を防ぐ方法もあります。装具の作成を希望される場合は睡眠時無呼吸を専門とする歯科医師に依頼します。軽症、中等症でも症状が強い方は、OA療法(マウスピース治療)を勧めさせていただきます




